将来への漠然とした不安から、高卒でフリーターとして働いている人には「人生を変えるためにも、そろそろ正社員にならなければ」のように焦る気持ちがあるかもしれません。
学歴や職歴から「自分には自慢できるスキルがない」と感じて、資格取得を検討している人もいるでしょう。
一方で、「自分に取れる資格があるのか」「取ったとして本当に就職につながるのか」などの疑問もあるのではないでしょうか。
そこで本記事では、高卒フリーターが20代のうちに資格取得を目指すべき理由と、就活に役立つ資格の選び方を説明します。
また、就活に有利なおすすめの資格も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
高卒フリーターが20代で資格を取るべき3つの理由
資格をもっていれば、就活を有利に進めやすくなります。しかし、多くの人が時間とお金を費やして資格を取得する理由は、それだけではないでしょう。
「仕事を得るため」だけでなく、「自分のため」だと考えれば、資格を取る理由はほかにもあることが見えてきます。
ここでは、高卒フリーターが20代のうちに資格を取っておくと良い理由を説明します。
理由1:学歴や職歴の不安を軽減できるから
早くから社会に出て働いてきた経験は、本来なら、それ自体が一つの武器といえるものです。
その一方で、周囲からは「高卒と大卒」「フリーターと正社員」のような比べ方をされてしまうこともあるでしょう。そのため、アルバイトを続けている現状に、なかなか自信をもてない人もいるかもしれません。
就活においても、「自分に応募できる求人があるだろうか」「会社員の経験がないと難しいのでは」のような不安が出てくるのは自然なことです。
このような学歴・職歴にまつわる不安は、資格を取ることである程度軽減できます。
「自分はこの分野に詳しい」「この作業ができる」といったことが新たな武器となり、自信もわいてくるでしょう。
理由2:未経験の分野にも挑戦できるから
本当はやりたい仕事があるのに、「自分には無理かも」とあきらめかけている人もいるかもしれません。
たしかに、未経験の仕事に挑戦するのは勇気がいることです。
しかし、資格のための勉強なら、未経験の分野でも取り組みやすいのではないでしょうか。
実際に、初心者からでも取得可能な資格は多数あります。なかには受験の際に実務経験が求められるものもありますが、資格の勉強だけならすぐにでも始められるはずです。
思い切って興味のある資格に挑戦してみれば、その分野の知識やスキルを身に付ける「きっかけ」になるでしょう。
理由3:日々の生活にハリが出るから
「資格を取る」という具体的な目標ができれば、日々の生活は少しずつ変化していくでしょう。
興味のある分野の資格なら、勉強の時間でリフレッシュもできます。新たに学ぶことが刺激となって、ものの見方が広がるなど、人生が豊かな方向に向かうかもしれません。
また、資格取得に向けてステップアップしていく過程では、少しずつ成功体験も得られます。
「わかること」や「できること」が増えて自己肯定感が高まり、だんだんと自分に自信も付くでしょう。
正社員を目指すなら!20代高卒フリーターの就活に役立つ資格の選び方
「正社員になる」という目標があるなら、これから取る資格はしっかりと考えて選びたいところです。
ここでは、フリーターが就活をする際に役立つ資格の選び方を説明します。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
今の自分に合う資格を選ぶ
まずは、自分がどのようなことに興味・関心をもっているのかや、何を得意・不得意だと感じているのかを見つめ直してみましょう。
こうした自己分析から挑戦してみたいことが出てくれば、取るべき資格の最初の候補となります。
また、心から「取りたい」と思える資格であれば、そのための努力も苦にならないかもしれません。就活の際にも、前向きな自己アピールにつなげやすいでしょう。
なりたい自分のイメージから逆算して選ぶ
これから取得する資格は、将来の「なりたい自分」を構成する要素の一つとなるものです。
「将来はこんな仕事がしたい」のようなイメージがあるなら、そこから逆算して、今から取るべき資格を選んでみましょう。
これは、会社員がキャリアプランを考えるのにも似ています。一人のビジネスパーソンとして目指すべき姿が明確になれば、就活でもアピールしやすいでしょう。
今後の仕事に活かせそうな資格を選ぶ
会社員として従事したい仕事をイメージして、活かせそうな資格を挙げてみるのも一つの方法です。資格のなかには、特定の職種で役立つ専門的なものも多数あります。
その際は、求人情報でどのような資格が歓迎されているかをチェックしてみると参考になるでしょう。
実際の職場でニーズのある資格を取得できれば、今後の仕事に直接的に役立つ可能性が高いためです。就活の際には、「すぐに戦力になれる」という強いアピールにもなります。
フリーターを続けながら無理なく取得できそうな資格を選ぶ
なるべく経済的・時間的な負担が大きくない資格を選んだほうが、アルバイトをしながらでも勉強を続けやすくなります。
「この資格を取りたい」と思ったら、実際に取得できそうかどうかも考えてみましょう。
今の自分にとっての難易度や、必要な学習期間などから、素早く取れそうな資格を選ぶのも堅実な方法の一つです。
その際は、受験料やテキスト代にいくらかかるのかも確認しておくとよいでしょう。
なかには、スクールを利用して取得を目指すのが現実的な資格もあります。その場合は、費用や期間・通学方法などもチェックして、無理なく取得できそうか判断することも重要です。
就活におすすめ!20代高卒フリーターが取るべき資格5選
どの資格を取るかは、自分に合わせて選ぶことが大切です。とはいえ、一般的に就活に有利とされる資格もあります。
ここでは、高卒フリーターが20代のうちに取っておくと役立つ可能性が高い、以下の5つの資格をピックアップしました。
どの資格も学歴や職歴などを問わず、誰でも取得できるものばかりです。活かしやすい仕事や職種の例も挙げるので、具体的に検討してみてください。
資格1:マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)
受験料(税込み) | 12,980円(1科目) |
試験の時期 | 随時または毎月1〜2回の全国一斉試験 |
試験時間 | 50分 |
合格率 | 非公開 |
学習時間の目安 | 60〜90時間 |
「マイクロソフト オフィス スペシャリスト(MOS)」は、Word・Excel・PowerPointなど、Microsoft Office製品の知識と操作スキルを証明できる試験です。
マイクロソフト社が主催しており、「一般レベル」と「上級レベル(エキスパート)」の2種類があります。
合格率は非公開ですが、「一般レベル」では80%ほどだといわれています。
難易度はそれほど高くないため、パソコン操作に慣れていない人でも、集中して学習すれば比較的取りやすい資格でしょう。
毎月1〜2回の全国一斉試験のほか、随時試験も開催されているので、学習の進み具合などに合わせて都合の良いタイミングで挑戦できるのもうれしい点です。
おすすめの理由
MOSの試験は、実際にパソコンを操作する実技形式で行なわれるので、合格すればパソコンスキルの証明にもなります。
近年では「パソコンは使わない」という人も増えているため、取得しておけば就活でアピールしやすいでしょう。
また、受験後はすぐに合否がわかります。そのため、合格したその日から履歴書に書けるのもポイントです。
活かせる仕事・職種の例
MOSは事務職にはもちろん、オフィスワークが必要なさまざまな職種に活かせる資格です。
Word・Excel・PowerPointの操作に慣れているというだけで、即戦力として評価されるケースもあります。
「どのような仕事に就きたいか、まだ迷っている」という場合でも、取っておいて損のない資格でしょう。
資格2:ITパスポート試験
受験料(税込み) | 7,500円 |
試験の時期 | 随時 |
試験時間 | 120分 |
合格率 | 50%前後 |
学習時間の目安 | 100〜180時間 |
「ITパスポート試験」は、ITを活用するすべての社会人が備えておくべき基礎知識を証明できる国家試験です。
IT系の国家試験として知られる「情報処理技術者試験」のなかでは、最も難易度が低い「レベル1」に位置付けられています。
合格率は50%前後となっており、国家試験としては高めです。
試験は全国の会場で随時開催されているので、受験しやすいでしょう。
おすすめの理由
グローバル化が進み、現在では多くの企業が「IT力」のある人材を求めるようになりました。
ITパスポート試験には、ITの基礎を身に付けられるという汎用性に加え、国家試験としての信頼性の高さもあります。取得しておけば、就活でも評価されやすいでしょう。
また、ITパスポート試験の勉強では、業務の効率化などに実際に活かせる知識が身に付きます。履歴書や面接で、仕事の内容にからめたアピールもしやすいでしょう。
活かせる仕事・職種の例
さまざまな企業がITを活用しているため、ITパスポート試験を活かせる仕事の求人は幅広く出ています。
身に付けた知識により、職種に関係なく一定の評価を得られるでしょう。
なお、未経験からIT業界を目指す人もいるかもしれません。それには入門として、この資格の勉強から始めるのもよいでしょう。
資格3:日商簿記検定3級・2級
受験料(税込み) | 3級:3,300円、2級:5,500円 |
試験の時期 | ネット試験:随時、統一試験:年3回(2月・6月・11月) |
試験時間 | 3級:60分、2級:90分 |
合格率 | 3級:30〜40%、2級:20〜35% |
学習時間の目安 | 3級:100〜150時間、2級:150〜250時間 |
簿記とは、お金の動きを帳簿に細かく記録する作業のことをいいます。そのスキルを証明できるのが、商工会議所の簿記検定です。
簿記検定には1〜3級と、簿記初級、原価計算初級の試験があります。就活でアピールするには、3級以上を取っておくとよいでしょう。
3級と2級は、テストセンターでほぼ毎日実施される「ネット試験」か、年に3回ペーパー形式で実施される「統一試験」のいずれかの方法で受験できます。
おすすめの理由
簿記は、経理や会計の実務に不可欠なものです。
そのため、簿記検定のスキルは、規模を問わずさまざまな企業に需要があるといえます。
税理士試験を目指す予定があるのなら1級の取得がおすすめですが、就活では3級か2級があれば評価されるケースが多いでしょう。
活かせる仕事・職種の例
簿記検定のスキルは、経理などの事務職で活かせます。お金の流れに関する知識であることから、営業や販売といった職種でも活用しやすいでしょう。
また、お金の管理や処理という意味では、会計事務所や金融機関の仕事にも役立つ資格です。
資格4:宅地建物取引士(宅建士)
授業料 | 8,200円(非課税) |
試験の時期 | 10月の第3日曜日(年1回) |
試験時間 | 120分 |
合格率 | 15〜18% |
学習時間の目安 | 300〜500時間 |
「宅地建物取引士(宅建士)」は、国土交通大臣の指定により「一般財団法人不動産適正取引推進機構」が試験を実施する国家資格です。
宅地建物取引業(不動産取引の仲介など)を営む際には、この資格が必要となります。
合格率は決して高くありませんが、ほかの士業資格と比べると難易度は低いといえるでしょう。
実際に、行政書士や司法書士として独立を目指す人が、その入り口として宅建士を取得するケースも多くあります。
おすすめの理由
宅建士に合格すれば、不動産取引の専門家とみなされます。就活では、おもに不動産関連の企業からの評価を得られるでしょう。
なお、宅建業法の定めにより、不動産会社は規模に応じて宅建士の資格がある人を一定数配置しなければなりません。
そのため、事業の拡大を予定している不動産会社からのニーズは特に高いといえます。
活かせる仕事・職種の例
宅建士の活躍の場は、不動産業界がメインです。
しかし、不動産会社のほかにも、不動産の知識を活かせる仕事は少なくありません。例えば、金融機関や保険会社、建設会社などでも活躍が期待できるでしょう。
また、自治体が行なう都市計画なども、宅建士の知識が役立つ職務です。そのため、地方公務員としてのキャリアプランも考えられます。
資格5:介護職員初任者研修
費用の目安 | 30,000〜100,000円程度 |
取得にかかる期間 | 1〜4ヵ月程度 |
「介護職員初任者研修」は、介護の基礎的な知識・スキルがあることを証明する資格です。
介護の仕事の一部(身体介護)を行なうには、この資格が必要となります。
介護職員初任者研修のカリキュラムは厚生労働省によって定められており、民間のスクールで必要な研修を受けて取得するのが一般的です。
具体的な費用や期間はスクールによって異なるので、個別に確認しましょう。
おすすめの理由
介護職員初任者研修に合格すれば、介護の知識・スキルをアピールしやすくなります。
企業側としても現場の実務を担う人材として安心して採用できるようになるため、就活を進めるうえでも資格があると有利です。
また、この資格がある人のみを対象とする求人も少なくありません。介護職員初任者研修を修了することで、応募できる仕事の幅が広がるでしょう。
活かせる仕事・職種の例
介護職員初任者研修の合格者は、老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などを勤務先として、利用者の介護を行なう仕事に従事できます。
デイサービス・デイケアのように、利用者が通うタイプのサービスでスキルを活かすことも可能です。
また、訪問介護も活躍の場となるでしょう。訪問介護の仕事では、一人で利用者の自宅を訪ねる場合が多いため、基本的に資格のある人が必要とされています。
資格を本当に役立つ「武器」にするには?20代高卒フリーターが就活を成功させる秘訣
資格の取得により、フリーターからの就活を有利に進めやすくなることを説明してきました。
しかし、資格は就活のメインといえる要素ではありません。「これさえ取っておけば大丈夫」というような、就活の決め手となる資格があるわけではないのです。
そこで、あらためて「正社員になる」という本来のゴールを意識することが重要になってきます。この目標を達成するために、どのように資格を活かすのが効果的かを考えましょう。
ここでは、資格を就活で本当に役立つ「武器」とするために必要なことを説明します。
履歴書や面接で「どうアピールするか」を考えておく
資格取得に挑戦する際には、その知識やスキルをどのようにアピールできそうかも考えておきましょう。就活では、おもに書類選考と面接がアピールの場となります。
書類選考では、取得した資格は履歴書や職務経歴書に記載することが可能です。
希望する職種や仕事内容と関連が強い資格であれば、自分は「企業が求める人材とマッチしている」というアピールになります。
面接では、単に「◯◯の資格があります」というだけでは、やや物足りない印象になってしまうかもしれません。
好印象を与えるには、「なぜその資格を取ったのか」「仕事にどう活かすつもりなのか」をしっかり説明できるように整理して、熱意や意欲が伝わるようにアピールすることが大切です。
就活のプロに相談して自分に合う求人を見つける
就活では、「自分が希望する仕事」と「企業側が求める人材像」をマッチさせることが重要です。
そのうえで資格をアピールすれば、「知識・スキルがある」という客観的な証明が武器となって、就活を有利に進めやすくなるでしょう。
そのためには、就活のプロに相談できる「就職支援サービス」を利用するのもおすすめです。
就職支援サービスでは、希望に合う求人を紹介してもらったり、就活の進め方について教わったりといったサポートを受けられます。
役立つ資格の選び方や、面接などでのアピールのしかたについても、具体的にアドバイスしてもらえるでしょう。
下記の記事では、フリーターからの就職に強い就職支援サービスを紹介しています。完全無料で利用できるので、まずは気軽に相談してみてください。

まとめ:「武器になる資格」で20代高卒フリーターの未来を変える一歩を踏み出そう
高卒でフリーターという経歴から将来への不安を感じ、正社員を目指す人は少なくありません。その際は、資格を取得することで就活を有利に進められる可能性があります。
本記事では、20代のうちに取得しておけば未来を変えられるかもしれない、おすすめの資格を紹介しました。
学歴・職歴であきらめないで!自分に合う資格は就活の武器になる
資格の取得は、学歴や職歴にまつわる高卒フリーターならではの不安を軽減するのに役立ちます。また、将来の可能性を広げるとともに、自分に自信を付けることにもつながるものです。
ただし、資格を取ること自体は、就活のゴールではありません。
就活に有利な武器とするためにも、資格は自分に合わせて選びましょう。
興味・関心や今後やりたい仕事、目指すキャリアなどによって、取るべき資格は変わってきます。このとき、履歴書や面接でどのようなアピールができるかも考えておくことが大切です。
一人で悩まずプロに相談して資格を活かせる就活を!
資格には、独学で挑戦しやすいものもあれば、スクールを利用して取得するのが現実的なものもあります。
せっかく時間と費用をかけるなら、取得した資格が最大の効果を発揮できるよう、自分と企業とのマッチングも重視しましょう。
そのためには、就職支援サービスでプロの力を借りるのがおすすめです。資格の選び方やアピールのしかたについて、実際の就活に役立つ具体的なアドバイスを得られます。
就職支援サービスは、資格の悩みに限らず就活をトータルでサポートしてくれる、頼れる存在です。
ほかにも不安なことがあるようなら、一人で悩むよりも、まずは相談してみれば解決の糸口が見つかるかもしれません。