フリーターや学歴に自信がない人にとって、求人票に書かれた「学歴不問」の四文字は魅力的に感じますよね。
しかし一方で、「そんなうまい話があるわけない」「どうせやばい求人だろう」と不安から応募をためらっている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、学歴不問の求人に潜む「やばい求人」とそうでない求人の見分け方について徹底解説します。
「学歴不問」の求人は、フリーターや学歴に自信がない人にとってチャンスです。
この記事を読んで、応募すべき求人とそうでない求人を見極める目を手に入れましょう。
「学歴不問の求人って、やっぱりやばいの……?」高卒フリーターが抱える不安の正体
「いい求人と思ったら、大卒のみか……」などと、学歴の壁に阻まれた経験のある人にとって、「学歴不問」の求人は天からの恵みのように感じるのは当然のことです。
しかし、そのような求人に安易に飛びつかず「そんなうまい話があるわけない……」「やばい求人かもしれない……」と立ち止まりこの記事にたどり着いたのは、あなたが真剣に就職や自分の人生について考えている証拠です。
まずは、「学歴不問」の求人に対して抱えている不安と、「やばさの実態」について明らかにしていきましょう。
なぜ「学歴不問の求人」と聞くと「やばい」と感じてしまうのか?
これまで日本の就職市場は、学歴を重視するのが常識とされてきました。
人材不足などにより、最近は学歴を重視しない企業も増えてきていますが、学歴重視の採用もまだまだ根強く残っているのが現状です。
そのような背景があり、多くの人が子どものころから教師や親に「学歴は大切」と教えられてきました。
「高学歴の人ほど良い就職口を見つけやすい」「高卒は就職に不利」など、あなたのなかには無意識のうちに刷り込まれたたくさんの「常識」があります。
そのような「常識」があるうえ、自分の学歴に多少なりともコンプレックスを持っていれば、「そんなコンプレックスは気にしなくて大丈夫!」という求人が突然目の前に現れたら「これ、本当に大丈夫なやつ?」と疑いたくなるのも無理はありません。
世間では、ブラック企業や闇バイトなど、仕事に関する怖いニュースが毎日のように伝えられています。
自分の身を守るためにも、警戒心を抱くのは大切なことです。
【要注意】「学歴不問」を掲げる求人に潜む可能性のある「やばい」ケースとは?
「学歴不問の求人ってやばいの?」というあなたの不安は、半分正解で半分は不正解。
学歴不問の求人には「やばい」求人が潜んでいる可能性があるというのが現実です。
ここでは、その「やばい」ケースの例を4つ紹介します。
ケース1:誰でもできる単純作業ばかりでスキルが身につかない
1つ目は、誰でもできるような仕事ばかり任されるケース。
どのような会社に入っても、新人のうちは誰でもできるような仕事を任されるものです。
そこからスキルアップしていくにしたがって、難度の高い仕事を任されていくのが一般的。
しかし、そのスキルアップの機会が与えられず、あなたに対してずっと単純作業だけを求めてくる企業も存在します。
「単純作業だけなんて楽で最高!」と思う人もいるかもしれませんが、そのような場合は、昇給やボーナスなどは見込めないと考えた方がよいでしょう。
「収入を上げたいから」と転職しようとしても、スキルの積み上げがないので今より苦戦を強いられることが予想されます。
ケース2:労働条件や人間関係が劣悪で、使い捨てにされる
2つ目は、「サービス残業や休日出勤は当たり前」「常に怒鳴り声が響いている」など、いわゆるブラック企業のケースです。
このような企業は、人材が定着しないため、常に求人を出しているのが特徴です。
「壊れたらまた新しい社員を雇えばいい」という風土が根付いてしまっているため、たとえ就職できたとしても、心身に支障をきたしすぐに退職することになりかねません。
また、いざ退職しようとしても、簡単には退職させてもらえない可能性もあるので、最も注意しなければならない求人です。
ケース3:給与が極端に低く、キャリアアップも期待できない
ケース1と2にも共通する可能性があるのが、給与面での「やばい」ケース。
多くの企業では、学歴ごとに初任給を設定しているので、大卒と比べて給与が安いのはやむをえない部分ではありますが、同業他社の初任給と比較して極端に低い場合は注意が必要です。
また、ボーナスや昇給制度があるかも確認しましょう。
なお、反対に給与が極端に高い場合にも警戒する必要があります。
ケース2で紹介したようなブラック企業の場合、人材が定着しないので初任給を高く設定して人を集めようとしていることもあるので、十分注意しましょう。
ケース4:実態は営業や体力勝負など、聞いていた話と違う
- 「営業事務と聞いていたのに、実際の仕事はほぼ営業。毎月ノルマを課されている」
- 「面接では体力に自信がなくても大丈夫と言われたのに、力仕事ばかり」
- 「残業はほとんどないと聞いていたのに、実際は月80時間以上のサービス残業」
など、求人票に記載された内容や面接で説明された内容と、実際に任される仕事や勤務条件がまったく違うというケースも存在します。
「せっかく高卒でも就職できたんだから、辞めるのはもったいない」「辞めてもまた転職できる気がしない」など、コンプレックスを利用して泣き寝入りするように仕向けられることもあるので、注意が必要です。
「学歴不問の求人」の全部が「やばい」わけじゃない!見極めるための3つの視点
ここまで「学歴不問」のやばいケースを紹介してきました。
しかし、「学歴不問」の求人が、すべてやばいというわけではありません。
ここからは、その求人が「やばい」求人かどうかを見極めるために持つべき3つの視点についてお伝えします。
視点1:企業の「なぜ学歴不問なのか?」という背景を読み解く
求人の条件は、労働基準法などの法律に基づいたうえで、各企業が独自に設定しています。
学歴を「大卒のみ」と設定する企業にも「学歴不問」と設定する企業にも、それぞれの考え方があるのです。
まずは、関心を持った「学歴不問」の企業がなぜ学歴不問の求人を出しているのかを考えてみましょう。
「人手不足だから」以外の理由も?(ポテンシャル採用、人物重視など)
「学歴不問」と設定する理由としてまず考えられるのは、社会全体が人手不足であることです。
厚生労働省の『令和6年版 労働経済の分析』(労働経済白書)によると、「2023年時点で、人手不足が相当に広い範囲の産業・職業で生じている」とされています。
こうした状況のなか、企業には、これまでの条件では応募者が集まらないため、条件を緩和して多くの人を集めたいという意図があると考えられます。
このほかにも、企業によっては、学歴や経歴にとらわれず、本人のスキルを重視しようとポテンシャル採用を実施したり、人柄重視で採用したりするところもあります。
あなたが興味を持っているその企業は、どのような理由から「学歴不問」としていると思いますか。
自分なりに考えてみましょう。
視点2:求人情報のココをチェック!「学歴不問」でも安心できる求人の特徴
企業の意図を自分なりに読み解いたら、次はその企業が出している求人情報をチェックしていきましょう。
ここでは求人情報のチェックポイントと、「学歴不問」でも安心できる求人の特徴を解説します。
仕事内容
まずは、仕事内容をチェックしましょう。
チェックするポイントはおもに2点。「仕事内容が具体的に書かれているか」「入社後にステップアップしていく自分がイメージできるか」です。
仕事内容が具体的に書かれているということは、任せたい仕事がはっきりしているということ。入社後に仕事が大きく変わる可能性は低いと考えられます。
また、事前に細かく仕事内容が提示されていることで、あなた自身もしっかりと仕事内容を把握したうえで入社できるので、入社後のギャップも小さくてすむでしょう。
また、自分がステップアップしていくイメージはとても大切です。
あなた自身が正社員として、どのようにステップアップしていきたいかを考え、この企業でそれが実現できそうかどうか、すり合わせてみましょう。
研修制度や教育体制
次に、研修制度や教育体制がどのようになっているかをチェックしましょう。
研修制度や教育体制を整えるにはコストがかかります。
そこにあえてコストをかけ、制度を充実させている企業は、社員を育成しようという意思があると考えてよいでしょう。
逆に研修制度がほとんどないという会社は、即戦力としてバリバリ働いてくれる人材を求めている可能性があります。
あなたが望む働き方とマッチするかよく考えて応募を決めましょう。
給与や休日、福利厚生が悪すぎないか
勤務条件や福利厚生についてもよく確認しましょう。
例えば、
- 同業他社の初任給と比較して、給与はどうなっているか
- 給与額だけではなく、どのような手当てがあるか、ボーナスはあるか
- あるのなら直近の実績はどうか、福利厚生はどのようなものがあるか
などを比べると、その企業の姿が見えてきます。
また、休日日数も大切です。
「週休2日制」と「完全週休2日制」では、年間の休日日数にかなり差があるのを知っていますか。
入社後に「こんなはずじゃなかった」と思わないように、自分を守るための知識も併せて身に付けていきましょう。
視点3:企業の公式サイトや口コミも活用!情報の裏付けを取る方法
「求人情報は問題なさそうだから応募しちゃおう!」と行動に移すのはまだ早いです。
世の中には、隠れたやばい求人が存在します。
求人情報をうのみにすることなく、その情報の裏付けを取っていきましょう。
ここでは、企業の公式サイトや就職情報サイトの口コミから情報を得るときのポイントを紹介します。
企業の理念や事業内容、社員の声などを確認する
求人に応募する前に、必ず企業の公式サイトに目を通しましょう。
まずは、全体を眺めて求人情報に合ったクオリティのサイトかを確認します。
例えば「求人情報では立派なことを書いていたけど、Webサイトはなんだか安っぽくて古いな……」など、求人情報を見たときと公式サイトを見たときの印象があまりに違うときは少し警戒した方が良いかもしれません。
そこが問題なければ、次は、企業理念や事業を確認しましょう。
採用特設ページなどがあれば、社員の1日のスケジュールや先輩社員の声なども確認しておくとよいでしょう。
口コミサイトも要チェック。ただしうのみにするのはNG
就職情報サイトなどの口コミも、複数チェックしておきましょう。
実際にその企業で働いていた人や、面接を受けた人のリアルな声が聴けるかもしれません。
口コミサイトの評価があまりに低い場合はもちろん要注意。
口コミを書いた人が、企業のどのような部分に不満を抱いているのかを読み込んでおきましょう。
ただし、口コミサイトの情報がすべて事実とは限らないということは、よく覚えておいてください。
どのような企業でも合う人と合わない人がいます。
悪い評価はあくまでも「合わなかった人の視点」です。
なかには悪意を持って書いている人もいるかもしれない、ということを念頭に置いて情報を収集しましょう。
【実践】「やばい学歴不問の求人」を回避!応募前・応募時にできること
求人情報や口コミを確認して「やばい求人じゃなさそう!」と思っても、まだまだ油断は禁物です。
ここからは、応募前と応募時にできる「学歴不問のやばい求人」を回避するポイントをお知らせします。
応募前に冷静に自己分析!自分は何ができて、何がしたいのか?
「やばい求人じゃなさそう」ということがわかると、すぐに応募したくなるのも無理はありません。
しかし、「やばい求人じゃない」は、応募に必要な最低限の条件でしかありません。
たとえやばい求人じゃなかったとしても、あなたの適性や希望とかけ離れた求人なら、入社できたとしてもミスマッチが起こってしまいます。
せっかく入社したのに早期退職なんてことにならないためには、あなた自身を知る「自己分析」が必要不可欠です。
事前にしっかり「自己分析」に取り組み、「自分にできること」「自分がやりたい仕事」などをハッキリさせておきましょう。
「学歴不問」の面接で確認すべき質問リスト
大抵の面接では、最後に面接官から「何か質問はありませんか」と尋ねられます。
「学歴不問」の求人は、ふたを開けてみるまで不安は尽きないものです。
少しでも不安をクリアにできるように、この質問の時間を有効に使いましょう。
ここでは、「学歴不問」の面接で確認するべき質問をいくつか紹介しますので、ぜひ実際に使ってみてください。
ただし、求人情報や公式サイトにすでに記載されている情報は聞いてはいけません。
「企業研究をしっかりしていない」という印象を与えてしまい、採用に不利に働く可能性があります。
具体的な仕事内容と一日の流れ
求人情報や公式サイトなどで具体的な仕事内容がつかめなかったときは、具体的な仕事内容や一日の流れについて質問してみましょう。
例えば、
- 「採用していただいた場合の一日の仕事の流れを教えていただけますでしょうか」
- 「業務内容はおもに〇〇や〇〇などと理解していますが、間違いないでしょうか」
など、丁寧な言葉で尋ねるのがポイントです。
入社後の教育・研修制度や期待する人物像
教育制度や研修制度が充実している会社は、社員を育てようとする風土があります。
具体的にどのような研修を行なっているか、最近好評だった研修はどのようなものかなどを尋ねてみましょう。
また、今回採用する人材にはどのような社員になってほしいか、どのような役割を担ってほしいと考えているかなどを併せて質問すると、入社意欲と成長意欲を同時にアピールすることができます。
学歴を問わない採用方針の理由
この質問をするときは、慎重に言葉を選びましょう。
聞き方を間違えると、面接官を試しているようなニュアンスになってしまう恐れがあります。
例えば、
「私は高卒です。
今回、学歴不問と言う採用方法を採っていただいたことで、御社の入社試験を受けられることになりとても感謝しています。
一つ教えていただきたいのですが、今回学歴を問わないことを採用方針に決められた理由はどのようなものでしょうか。
この入社試験の合格者に期待することなどがあれば、併せて教えていただきたいです」
など、「自分を成長させるために参考にしたい」ということが伝わるように尋ねましょう。
また、面接官に「あなたはどのように考えますか?」など逆に質問されたときに備えて、自分なりの仮説を持っておきましょう。
ただし、「人が集まらないから」などのネガティブな理由は失礼にあたりますので、「多様な人材を採用し、組織に刺激を与えたいから」など、ポジティブな理由を述べるようにしましょう。
違和感を覚えたら立ち止まる勇気も大切!内定承諾前の最終チェック
無事に面接を突破して内定通知が届いても、すぐに承諾するのはNG。
返事をする前に、一度冷静にこれまでの面接官の態度や社内の雰囲気などを振り返って、違和感を覚えるようなら、辞退も視野に入れて最終的な判断を下すようにしましょう。
もし解消できていない疑問や不安があれば、内定の承諾をする前に電話やメールなどで問い合わせることも検討しましょう。
「学歴不問」はチャンス!前向きに就職活動を進めるための心構え
「学歴がない」「職歴がない」「根性がない」など、就職活動をしていると、自分の足りないところばかりに目が向いて、ついネガティブになってしまいます。
しかし、ネガティブなことを考えて立ち止まってしまうくらいなら、一歩でも前に進むことを考えましょう。
ここでは、あなたが前向きに就職活動を進めていくための心構えを紹介します。
くじけそうになったときは、一度ここに立ち返りましょう。
学歴はすべてじゃない!あなたの人柄や意欲を評価してくれる会社もある
就職活動において、学歴は一切関係ないというと残念ながら嘘になります。
しかし、就職活動は学歴がすべてというのもまた嘘です。
学歴はその人を構成する要素の一つでしかありません。
社員に学歴を求める企業もあれば、そうでない企業もあります。
学歴に自信がないのならそれ以外の部分をしっかりと磨き、「学歴不問」の企業のなかから、あなたの人柄や意欲を評価してくれる企業を探していきましょう。
「学歴不問」をチャンスと捉え、スキルアップを目指そう
「学歴不問」の求人は、「やばい求人」が紛れていることがあるのである程度の警戒が必要ですが、必要以上の警戒はあなたの行動を鈍らせてしまいます。
チェックするべきポイントがあるのはここまでお伝えしてきたとおりですが、基本的には「学歴不問で正社員に挑戦できるなんてラッキー」くらいの軽い気持ちでのチャレンジを心がけましょう。
行動すればするほど、書類作成や面接のスキルは上がっていきますし、同じ学歴不問でもいろいろな企業があることがわかり、あなたの見る目も養われていきます。
「学歴不問」の求人はチャンスであることには間違いありません。
そのチャンスを逃さず、正社員の切符を手に入れましょう。
就職活動は、焦らず自分のペースで
就職活動が長引いてくると「とにかくどこでもいいから内定をもらって安心したい」という気持ちになってきます。
しかし、「学歴不問」の求人にチャレンジするからには焦りは禁物。
ここまでお伝えしてきたとおり「学歴不問」の求人には「やばい」求人が紛れ込んでいます。
やばい求人を引き当てないためには、違和感を感じ取るセンサーが必要不可欠です。
焦りはそんな違和感センサーを鈍らせてしまいます。
あなたが「やばい」求人をかわして納得感のある就職ができるよう、就職活動は焦らずあなた自身に合ったペースで進めていきましょう。
まとめ:「学歴不問の求人」の「やばい」を見抜き、納得のいく一歩を踏み出そう
ここまで、「学歴不問の求人」のなかに紛れている「やばい求人」の見抜き方を紹介してきました。
安易に飛びつくことも、度が過ぎる不安から避けることもせず、「学歴不問の求人はある」「そのなかにはやばい求人もある」という事実を受け入れ、あなたが望む就職が実現できるように就職活動を進めていきましょう。
今回のポイントをおさらい:「学歴不問の求人」は吟味が重要!
これまでお伝えしてきたとおり、「学歴不問の求人」のなかには「やばい求人」が混ざっている可能性があることは事実です。
「だから学歴不問の求人は避ける」のではなく、「しっかり吟味して、そのなかから自分が納得して働ける企業を見つける」という気持ちで就職活動を進めましょう。
あなたがこの記事でお伝えしたことを活かして「やばい求人」を見極め、自分にぴったりの働き先を見つけられるよう願っています。
また、理屈では説明できないあなたの直感も意外と役に立ちます。
「何となく違和感がある」と感じたら、「気のせいか」と流さず大切にしてください。
自分一人での企業選びや「やばい求人」の見極めに限界を感じたら……
就職活動は、ひとりで進める必要はありません。
- 「学歴不問の求人から、自分に合った安全な会社を見つけるのはやっぱり不安……」
- 「いくつか企業を研究してみたけど、自分一人でうまく見極められる気がしない」
- 「もっと客観的な情報や、専門的なアドバイスがほしい」
そう感じたら、フリーターの就職に強い就職支援サービスを利用してみましょう。
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