「コンテンツマーケティング」と聞いて、皆さんはどんな手法をイメージしますか? 実際、アプローチはさまざまで、新しいSEOの手法ととらえる人もいれば、ソーシャルシェアを軸に考える人もいます。
最近良く言われることですがオウンドメディア、コンテンツマーケティングを行っているサイトの流入元が多様になってきており「SEO」「ソーシャル」という区分だけでなく、その他の手法もきちっと分類し考たほうが成果が得られるのではないかと思い少しまとめました。
※もちろん、そういった分類をせずに各流入経路に対してきちんと最適化や取捨選択を行って成功する場合もあると思います。
プル・プッシュ・シェア
冒頭の画像では「SEO(検索エンジン対策)」「ソーシャルメディア対応」というとL型の部分になります。
プルは検索エンジンでほぼ完結しますが、プッシュ・シェアに関して言うとソーシャルメディアは両方の役割を担っていますが、全体で見るとその一部となっています。
ソーシャルメディア対策?
コンテンツマーケティングのソーシャルメディア対策という話になったときに話が噛み合わない場合はこの2つの役割を混同して話ことにより起きていることが多いと思います。またソーシャルメディア以外のプッシュ・プル手法も見落とされがちです。
そこで、流入の分類。コンテンツを届ける手法、見つけてもらう手法を「プル」「プッシュ」「シェア」に分類することで非常にスムーズに理解出来るのではないかと思います。
流入インパクトとして「検索エンジン」「ソーシャルメディア」が非常に大きくその2つに目が行きがちですが、全体像として画像のような分類で考えることをおすすめします。
コンテンツマーケティング、おすすめの選択肢は2パターン
私たちはコンテンツマーケティングの根本を、以下のようにとらえています。
商品の宣伝ではなく、まずユーザーの役に立つコンテンツ、興味あるコンテンツを提供する。コミュニケーションのきっかけを作り、継続的に関係を築き、売上につなげる。
コンテンツマーケティングにさまざまな見方がある中でも、「宣伝ではなく情報提供を」の一点は、共通認識としてよいのではないでしょうか?
コンテンツマーケティングを行っていく上で具体的な手法としては、現時点で、主に4つのアプローチがあると考えています。
- 検索エンジンからの流入を獲得する
- ソーシャルメディアでバズらせる
- 購読者を獲得し定期的にコミュニケーションする
- ネイティブ広告等の広告手法を利用し流入とバズを狙う
企業によって得意分野がありますが、結論から言えば、私たちは
●SEO型のコンテンツマーケティング=1に徹する
●SEO+シェア+購読の複合型コンテンツマーケティング=1、2、3を連動。補完的に4を使う
のどちらかが、現実的な方法だと考えています。予算に余裕があれば、複合型が最適と考えます。
liskulさんで紹介されていたパターンは4タイプですが「ソーシャル主導」「ブランド」型は一般的なコーポレートサイト、サービスサイトが成果を重視して取り組むには少し難しいのではないかと考えます。
オウンドメディア|国内11事例の分析で見えた成功パターンの4タイプ
SEO型のコンテンツマーケティング
SEO+シェア+購読の複合型コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングのベースをSEOにすると安定する
「コンテンツマーケティングとコンテンツSEOが混同されている」という指摘を、聞くことがあります。言葉の定義はさておき、私はコンテンツマーケティングをSEOの視点で考えることが、間違いだとは思いません。
ここらへんはヴォラーレの土居さんが詳しく書かれています。
「SEO」「コンテンツマーケティング」「コンテンツSEO」そのあたり
「宣伝ではなく情報提供を」のコンテンツマーケティング的発想は、検索エンジンと非常に相性が良いのです。
ネットで検索するユーザーのマインドは「質問」です。何かを「調べたい」「解決したい」という明確なニーズが、検索キーワードには隠れています。ニーズを見極め、正しく答えることがSEOの基本です。
コンテンツは、質問に対する「回答」でなければなりません。既存メディアでいえば、新聞や雑誌より、辞書や電話帳の役割に似ています。誰もが驚くスクープや、流れるような文章がなくても、ユーザーの役に立つことができます。
誤解を恐れずに言えば、クリエイティブに大きく左右されないのがSEO型のコンテンツマーケティングです。「質問」を投げかけたユーザーは、「回答」が用意されていることに満足するのであり、コンテンツの出来栄えやページの見た目に満足するのではありません。
SEO型のコンテンツマーケティングでは、ユーザーからの「質問」がある限り、アップされた記事へのニーズがあり、半永久的にアクセスを生み続けます(ストック型のコンテンツと呼んでいます)。
ストック型のコンテンツは、着実に成果を残してくれます。費用対効果の面でも確実性の高い方法だと、考えています。
ただし、流入を稼ぐだけのコンテンツSEOは、本来無意味です。ビジネスに有益なアクセスを集め、何かの形でコンバージョンに寄与するコンテンツを設計することが重要です。
ソーシャルシェアを狙うならクリエイティブに注力。予算をかける価値はある
ソーシャルメディアでコンテンツをシェアさせる場合、事情は変わってきます。ストック型のコンテンツは辞書のようなもので、「質問」を持っているユーザーにとってはとても便利ですが、そうではないユーザーにとってあまり魅力はなく、その情報を友人や同僚に伝えたいとは思いません。けれど、感動した小説や、役に立つビジネス書であれば、人にも勧めたくなります。
この違いは、コンテンツを受け取るユーザーが、そのコンテンツを明確に欲しいと思っていたかどうかによります。
「質問」に答えさえすればよかったSEO型のコンテンツマーケティングと違い、明確に情報を欲していなかったユーザーを動かすには高いクリエイティブが必要です。
ソーシャルシェアを狙う場合は、驚きや共感、学びや気づきなど、感情や知性にインパクトを残すコンテンツが求められます。クリエイティブに大きく依存し、「バズる」かどうかは水モノ。コストをかけても、十分な効果を得られる保証はなく、リスクが高いのです。
とはいえ、予算を割いて、クリエイティブの向上を追求する価値はあります。うまくいけば、1本のコンテンツが、ばく大なパワーを発揮するからです。たとえばLIGさんのLIGブログは、「伝説のウェブデザイナーを探して」というおもしろ記事をきっかけに、非常に有名になりました。
※現在のトラフィックの多くは検索エンジンから
爆発的な拡散はしなくても、愛情と手間をかけて作ったコンテンツはファンを作ります。次の項で挙げる購読者のケアにも、クオリティの高い記事は欠かせません。
コンテンツマーケティングの記事作成
コンテンツマーケティングでライバルに勝つ近道は、ユーザーの気持ちに合った記事を作ること。
わかりやすい文章、奥の深い情報といったクオリティが高くても、読んでいるユーザーに対してピント外れのコンテンツは意味がありません。
ユーザーの気持ちに寄り添うには、「プル/プッシュ」のフレームワークが必要です。
そのコンテンツはプル型? プッシュ型?
人が情報を得るときには、明確に知りたいことがあって調べる場合と、そうでない場合があります。
調べている人に適切な答えを提供するのが「プル型」のコンテンツ。
明確な目的意識がないユーザーに届けるのが「プッシュ型」のコンテンツです。
プル型のコンテンツ
質問に対する回答
例)
ユーザーの質問:○○という新車はいくら?
→回答:○○という新車の価格は○○円
プッシュ型のコンテンツ
こんな情報があります! というお知らせ
例)
○○という新車が発売されました
○○という新車には、こんな開発秘話がありました
検索エンジンに入力するキーワードは、ユーザーの質問です。
明確な目的があるので、プル型のコンテンツを置くべきです。
Google Adwordsやyahoo!プロモーション広告といった検索連動型広告は、典型的なプル型広告といわれていますね。
一方、テレビ番組や雑誌の記事は、「役に立つ情報があるかな?」「何かおもしろいことはあるかな?」くらいの気持ちで見るわけです。
ここでは、質問に答えるというより、奥の深さや驚きが求められます。
プル/プッシュを間違えていない?
プル型とプッシュ型を明確にすることが、コンテンツマーケティングの第一歩。
しかし、実際には、この2つが混同されているケースが非常に多いのです。
例えば、こんなこと良くあるのではないでしょうか?
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新しいノートパソコン「●△×」の購入を検討しているAさん。
価格を知りたいと思って、ブラウザの検索窓に「●△× 価格」と入力しました。
最初にクリックしたページには、プロのライターによる試用レビューが延々と紹介されています。
充実した内容ではありますが、Aさんが抱いた感想は「今知りたいのはそんなことではない」。
実は3ページ目に価格的な分析もしっかり書かれていましたが、Aさんはたどり着く前にページを閉じてしまいました。
2番目にクリックしたページには、CPUやHDDなど仕様別の価格表、さらに同ランクの製品の比較表が掲載されていました。
特に深い分析はありませんが、簡単なコメントが添えられていて親切。
何より、知りたかった価格が一目瞭然で、他社との比較もできたのは期待以上です。
「このサイトは使えるぞ」とお気に入りに登録しました。
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特に多いのが、プル型のコンテンツが適しているのに、プッシュ型の発想で作ってしまうケース。
ほとんどの企業サイトは、検索エンジンからの流入が主ですが、従来型のメディアは上図のように、プッシュ型が多いのです。
特にプロのライターに記事を書いてもらうようなときは要注意。
テーマだけ伝えて任せきりにすると、失敗する可能性が高くなります。
「プル/プッシュ」を理解してもらった上で、発注側がディレクションしなければなりません。
プル/プッシュを使い分けて記事作成を行う際の方向性
プッシュの場合は
・タイトルをキャッチーに作成
・内容は「お知らせ」したいことが全体的にわかるよう網羅的に記載。
プルの場合は
・タイトルはファイルのインデックス(目次)のように、情報を探しているユーザー対してわかりやすいよう、端的に作成 ・内容はユーザーが知りたいと思っているであろう事を端的に記載。
上記のような方向性で作成し、プル/プッシュに合わせた届け方を用いることにより適切にユーザーにコンテンツを届けることが出来ます。
購読者をもてなす設計
一度接点を持ったユーザーとは、継続的に関係を築きたいところです。意外に見逃されがちですが、とても重要な購読の仕組みを整理しておきましょう。
継続的に情報発信する上で、以前より活用されているのがメルマガです。アドレスを登録してもらうのは決して低くないハードルですが、配信を継続することができれば関係性は強まります。
メルマガとともに古くからあるコミュニケーションツールの1つとしてRSSがあります。ITリテラシの高い一部を除き、積極的に活用できるユーザーは少ないようですが、少ないながらも利用しているユーザーは確実にいます。また分野によってはRSSで購読しているような情報感度の高いユーザーはバズ(シェア)の起点となってくれることが多くあります。
購読者向けのツールとして手軽なのは、FacebookページやTwitterアカウントの運用でしょう。ソーシャルメディアは、多くのユーザーにとって情報収集のプラットフォームになっています。購読者以外のニュースフィードにも表示されることで、自社を知らないユーザーにも情報を届けることができるのもメリットです。
問題点としては、購読者に情報を届ける際に、エッヂランクの影響で表示されない、タイムラインが早すぎて読まれない、などソーシャルサービスの性質・仕様に左右されることが挙げられます。
RSS、メルマガ、SNSを組み合わせて、購読の仕組みを作っていくことになります。それぞれのメリットとデメリットを考慮して、バランス良く設計することが重要です。何も考えずに、「とりあえずやってみよう」でスタートすると、あまり長く続きません。
コンテンツも購読者向けに考えなければなりません。「何か情報がないかな」と接触してくれるユーザーを、ピンjポイントな情報に特化したストック型のコンテンツでもてなすには、限界があります。継続的な購読を見込むなら、ソーシャルシェアと同様に高いクリエイティビティが求められます。
クリエイティブを重視して、コンテンツを拡散するサービスもありますが、私たちは、まずはストック型のコンテンツと、SEO型のコンテンツマーケティングで着実に結果を残すことが重要だと考えます。その上で、シェアと購読でレバレッジをかけるコンテンツマーケティングを提案していきたいと思います。
コンテンツマーケティングに関して、さらに理解を深めたいかたはこちらの記事も是非参考にしてください!
◆コンテンツマーケティングとは?特徴と事例、社内でできる方法を解説します
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