はじめに
本記事では、サクラサクマーケティングのR&Dチーム(*)が実施した定点観測と独自調査をもとに、GoogleのAI Overviews(AIによる概要、以下AIO)の表示枠があるクエリに対して行った、「AIOに引用されるために必要な要素の検証結果と、AIO内の掲載順位向上事例」について解説します。
今回の検証では、既存ページに7つの要素を追加した結果、AIOからの引用率が向上し、副次的な効果として対象クエリのAIO内順位も上昇する事例が見られました。すべてのクエリにおいて効果を保証するものではありませんが、AIO対策の一助として参考にしていただければ幸いです。
*サクラサクマーケティングのR&Dチームとは:当社CTOの山崎を中心とした、SEO・AI領域に精通したメンバーで構成される専門組織です。検索エンジンやAIの進化を継続的に研究・検証しており、AI時代のSEO施策や記事制作のご相談にも対応しています。
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注記:AI Overviewsのアルゴリズムや形式は日々進化しています。常に最新の情報を確認するなど、柔軟な対応が必要です。
この記事の監修者|シニアコンサルタント T.U.

サクラサクマーケティング株式会社
シニアコンサルタント/R&Dチーム構成メンバー
2007年よりWebマーケティング業界に従事し、Webの黎明期に参入しSEOや各種広告運用、制作ディレクターなどを幅広く担当。
ロジックと定量的な結果を重視し、中小から大手まで業種業態を問わず数多くのサイトをサポートしている。
顧客の課題解決の幅を広げるべく日々アンテナを広げ、最近はWebマーケにおけるAI領域にも積極的に関与。
Google AI Overviewsの基本的な理解
GoogleのAI Overviews(AIO)とは、検索クエリに対してAIが生成した回答を検索結果の上部に表示する機能です。
日本語では「AIによる概要」とも呼ばれています。この機能は、ユーザーの疑問を効率的に解消し、多角的な情報を提供する点が特徴です。
AIOが表示される条件や、どのようなリンクが引用されるのかなど、その仕組みにはまだ多くの疑問が残されています。これらの疑問を解明するため、現在も精力的な調査・分析が進められています。
Googleの検索結果に表示されるAI Overviews(日本語では「AIによる概要」)
サクラサクマーケティングR&Dチームが調査したAIOからの引用率を高める7要素
データサマリ
(*KW=キーワード)
本検証は、特定のジャンルでAIOの表示枠がある情報収集系のクエリに対して、AIOで引用させたいページで検証しました。その結果、
・引用率について、5ワード中4ワードに引用率の向上が見られました
・5ワード中3ワードでAIO内の掲載順位が上昇しました
・5ワード中3ワードで順位上昇が見られました
施策内容と追加した7要素
今回の検証で追加した要素は、以下の通りです。
①端的な回答
②図表
③図表の要約テキスト
④当該トピックに関する最新情報
⑤公式サイトへの発リンク
⑥当該ジャンルのAIOで共通して引用されていた要素
⑦上記をコンパクトにまとめて掲載
上記の7要素を、既存ページの「施策内容追加領域」に掲載しました。
検証結果
本施策により、検証したキーワードにおいて引用率とAIO内順位の改善が確認されました。
<改善データ>
引用率(5ワード中4ワードの引用率が向上)
対策前 | 対策後(差分) | |
---|---|---|
キーワード① | 60.0% | 90.0%(+30.0%) |
キーワード② | 28.6% | 90.0%(+61.4%) |
キーワード③ | 71.4% | 100.0%(+28.6%) |
キーワード④ | 14.3% | 10.0%(-4.3%) |
キーワード⑤ | 71.4% | 90.0%(+18.6%) |
AIO内掲載順位(5ワード中3ワードのAIO内掲載順位が上昇)
対策前 | 対策後(差分) | |
---|---|---|
キーワード① | 2.2位 | 1.3位(+0.8位) |
キーワード② | 9.0位 | 1.9位(+7.1位) |
キーワード③ | 2.8位 | 1.3位(+1.5位) |
キーワード④ | 1.0位 | 7.0位(-6.0位) |
キーワード⑤ | 1.0位 | 4.6位(-3.6位) |
平均順位(5ワード中3ワードの平均順位が上昇)
対策前 | 対策後(差分) | |
---|---|---|
キーワード① | 5.4位 | 3.2位(+2.2位) |
キーワード② | 3.0位 | 1.8位(+1.2位) |
キーワード③ | 2.1位 | 1.7位(+0.5位) |
キーワード④ | 1.0位 | 1.0位(0.0位) |
キーワード⑤ | 1.0位 | 1.0位(0.0位) |
監修者からのコメント|AIO対策の検証結果と今後の活用ポイント
本検証では、AIOが出ているクエリに対し7つの要素を追加することで、引用率の向上と、二次的な効果としてAIO内順位の改善が確認されました。
AIOの出現する場所や出現ワードは日々変化しているため、今回の結果は一定の汎用性がある施策と考えております。100%の成果を保証するものではありませんが、AIO対策を検討する際は、ぜひ参考にしてください。
実施にあたっての留意点として、AIO対策では課題の明確化や目的の設定、振り返り指標を持つことが重要です。多くの場合、AIOの引用が増えてもセッションに結びつく可能性はそれほど高くなく、セッション回復のインパクトは小さいことが予想されます。
一方、AIO対応はAIからの評価獲得に直結するため、中長期的にはAIOやAI対策(LLMO)に繋がる施策となります。
現状の課題や目的を明確にしたうえで、AIO施策の必要性や優先度の高い施策とのバランスを検討しながら取り組むことが重要です。
AIOに限らず、SEOやAI対策をご検討中の方は、コンサルティングやLLMO診断サービスなどもご提供しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
この記事の監修者|シニアコンサルタント T.U.

サクラサクマーケティング株式会社
シニアコンサルタント/R&Dチーム構成メンバー
2007年よりWebマーケティング業界に従事し、Webの黎明期に参入しSEOや各種広告運用、制作ディレクターなどを幅広く担当。
ロジックと定量的な結果を重視し、中小から大手まで業種業態を問わず数多くのサイトをサポートしている。
顧客の課題解決の幅を広げるべく日々アンテナを広げ、最近はWebマーケにおけるAI領域にも積極的に関与。